炭素循環農法

炭素循環農法の実際①

 炭素循環農法に取り組んで3年目になりますが、大体の流れや効果などが分かってきたのでお話したいと思います。

炭素循環農法とは?

 炭素循環農法とは簡単に言えば「糸状菌」を使った農法です。

 

炭素循環農法の強み

 炭素循環農法の良いところは、「元肥」や「追肥」を行う必要がないことです。一度糸状菌が野菜の根と結びつくことで、必要な時に必要な量の養分を野菜に供給することができます。これは定植してからのお世話の手間が省けることにつながります。また、養分が多すぎず、少なすぎずバランスが良い状態に保てます。一つ注意したいところは定植時は糸状菌と野菜の根が結びついておらず、完全活着するまでに少し時間がかかります。根張りをよくし活着を早めるために「液肥」を使う方法もあります。液肥はすぐに薄れてしまい、最後まで残ることはありません。

※ここでの「完全活着」とは糸状菌と野菜の根が結びつくことの意味です。

炭素循環農法の弱み

 炭素循環農法も弱点があります。1つは水に弱いと言うことです。糸状菌は水に浸かると弱って死んでしまいます。そういった理由から「稲作」には使うことはできません。しかし、水を使う稲作は自然栽培の中で一番取り組みやすく、炭素循環農法を使う必要はありません。2つ目は広範囲の栽培は難しいことです。畝を作って部分的に栽培を行う場合は得意ですが、ねぎなど土寄せが必要な野菜に関しては難しいと言えます。だからと言って全くできないというわけではなく、畑全体を炭素循環型にしてしまえば可能となります。

どんな作物に向いているのか?

 今までいろいろな野菜を炭素循環農法で試して来ましたが、よく育ったなと思ったのは「葉菜類」です。糸状菌を介して窒素を供給しますから、窒素がメインに必要な葉菜類はよく育つというわけです。よく育った物を挙げていくと、オクラ、ゴーヤ、サツマイモ、ジャンボニンニク、トマト、ナス、ピーマン肥料食いというナスでさえ、追肥を行わなくとも十分に育ちました。以上の事から万能ではないが農法としては素晴らしいと感じています。

 キャベツなどのアブラナ科野菜は虫害にあいやすく自然栽培では難しいと思っていましたが、その原因が肥料に含まれる成分で虫が引き寄せられているという事を知り、炭素循環農法で栽培したところ完全ではないですが虫害が少なくなり、かなり良い状態で収穫する事ができました。 

 ナスやピーマンも実の付き方が良く、ピーマンを生食した時の苦みが感じられず、これなら子供でも食べられるかも知れません。この二種類の野菜は他に「植物ホルモン」を活用した栽培も併用して行っています。植物ホルモンを活用した栽培は追って紹介しようと思います。

 左の写真はサツマイモのベニアズマです。収穫時期が遅れてしまったものを掘り起こしたのですが、サツマイモの形をしていませんね(笑) おそらくですが、畑にカリウムが多かった事が原因かもしれません。いずれにせよ、よく生長しています。 

 右の写真はピーマンにヒラタクワガタ居ましたというものです。実はこの炭素循環農法の畝の下には、大量の枯れ木を入れてあります。クワガタに限らず、カブトムシも畝から這い出してきています。これは自然と共存できるキッカケになるのではないかと思っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました!